「農畜遊」複合経営?
- 2020.12.23
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農畜複合経営は耕種農業と畜産業を組み合わせ、物質循環との調和を目指す農業経営であり、ハウス栽培では成立しない!という偏見がある。
だが、商業規模の連作が困難と考えられるトマトをハウス栽培で20年間作り続け、連作障害とも無縁の農畜複合経営が実在する。
その舞台は通常のビニールハウス内である。
収穫後に残渣を片付け、有機質肥料「元気くん」を微生物の餌として与え、トラクターで攪拌。それはごくフツーの土づくりである。
その秘訣は「作業の丁寧さ」だとでもいうのか? まさか!?
夏の暑さが残る9月中旬、学生にトマトの収穫体験を体験してもらった。
大学に戻った学生と話していたら、何かが理解できるような気がしてきた。
そこで働く方々は、トマトや根圏に暮らす土壌微生物たちと対話できるのだろうと…
笑い話みたいだが大マジメである。
江戸時代の「農書」には現代とは異質の世界が描かれている。豊かな自然は敵対する対象であり、上手な付き合い方が追及されていた。
果樹や稲作の連作は常識であり、連作を不可能とすることが非常識なのかもしれない。
化学肥料や農薬に依存する現代農法の下で生まれる偏見の根底には、短期的収益を追求する価値観があるのではないだろうか? 残渣を片付けたハウスでふれた土はトマト連作20年の重さを感じさせてくれるものだった。
循環しない物質を自然界に大量廃棄するヒトとは自らを家畜化する生物なのだろうか?化学合成物質を大量消費し、食品添加物を大量摂取する現代人が自然循環を語るのは夢想にすぎない。
せめて、廃棄物を資材と位置づけ、循環過程に組み込む工程づくりを考えたい。